シャインマスカットは「安芸津 21号」と「白南」をかけ合わせて誕生した大粒ブドウ品種です。
爽やかな味わいで近年人気が高く、飯山から全国に向けて出荷されています。
春の日差しが強くなって来たこの日、青果部の萩原が中野市のブドウ農家を訪ねました。
摘果(てっか)が概ね終わり、これから実が熟していくのを待つタイミング。一面のシャインマスカットの中で、お話を伺いました。
「シャインマスカットを作り始めた頃は、とても強く育てやすい品種だから”バカぶどう”って呼ばれてたんだ」。
そう話すのは、シャインマスカットの栽培を始めて15年になるブドウ農家の小林さん。全国的に人気の高いシャインマスカットにも意外な呼び名があったものです。
中野市は、年間降水量が平均1,100mm程度と少なく、昼夜の寒暖差が大きいというブドウ栽培に適した環境で、巨峰やデラウェアなどの品種が盛んに栽培されていました。それが、1990年代後半から種無しブドウそして皮ごと食べられるシャインマスカットへと栽培品種の切り替えが行われたのです。爽やかで味がよく、種がなく皮ごと食べられるだけでなくその育てやすさから、北信濃一帯でも瞬く間に作付面積が拡大。飯山中央市場を代表する取り扱い品目の1つとなっています。
シャインマスカットは苗を植えてから3年で実が成り始め、安定して出荷できるようになるには5年ほどかかります。中野市でも、まだ雪が残る頃からビニールハウスの中でブドウ作りを始めていきます。ハウス栽培のものを7月ごろから出荷し、その後、露地栽培のものが出回ると12月の冷蔵を含めて、長野県内はもとより全国のスーパーマーケットなどに出荷していきます。
先程、シャインマスカットを「強いぶどう」と表現しましたが、実は雨には弱く、種をなくすための処理も必要。手間と愛情をかけて育てられているのです。中でも、特に神経を使うのは、何度かに分けて幼果を摘粒し、形のよい房に育てる工程。その出来栄えで価格も変わってきます。東京のデパートや高級果物店では桐箱に入った贈答用シャインマスカットが2万円以上の価格で売られていることも珍しくありません。しかし、そのようなサイズのものだけでなく、あえて小さく育てることもあります。
「桐箱に入るようなシャインマスカットも作るけど、それだけじゃなくて地域の人にも食べてもらえるような手頃なサイズの出荷がメイン。飯山中央市場さんの要望に合わせて大きさを調整してるよね。高いばかりじゃなくて、より多くの人のもとにここで育ったブドウが届くのがやっぱりいいなと思いますね」。
東京のデパートや高級果物店では桐箱に入った、立派な贈答用シャインマスカットが20,000円以上の価格で売っていることも珍しくありませんが、そのようなサイズのものだけではなく、あえて小さなサイズで収穫できるようにつくることもあるのだそう。
「桐箱に入るようなシャインマスカットもつくることができるけれど、そればっかりじゃなくて、地域の方にも食べていただけるようなお手頃サイズでの出荷がメインです。市場さんの要望にあわせて大きさを調整するようにしています」
私たちは流通を担う立場として、農家さんが作ったものをできるだけ良い価格で仕入れて販売したいと考えています。
と話すのは、飯山中央市場の萩原。農家さんを訪ねともに考えながら作物づくりができたらいいなと考えています。
農家さんに立派なブドウを作っていただいても、値段が高すぎれば売れないかもしれない。だから、売価的に人気のあるサイズを提案して、それに合わせて納品していただきます。
農家さんと二人三脚で、良いものを新鮮なうちに生活者の皆様の元にお届けしていきたいです。
もう1、2カ月もすれば収穫となるシャインマスカット。今年も出来上がりが楽しみです。