農家さんが丹精込めて育てた甘みの強いトウモロコシ。 夏の食卓を彩る旬の味として、関東の飲食店などから多くの引き合いがあります。
8月中旬、飯山中央市場 野菜部の滝澤が、木島平村の「竹内農園」を訪ねました。
取材日はまさにトウモロコシの収穫の最盛期。強い日差しが照りつける中、竹内さんは額に汗を浮かべながら収穫作業に励んでいました。竹内農園で栽培されているのは、長野県の種苗会社が開発した「恵味(めぐみ)」という品種。糖度が高く、粒皮がやわらかいのが特長です。4月下旬から6月下旬にかけて、標高の低い農地から順に種まきを行い、収穫は7月中旬から8月下旬まで続きます。
「朝早く畑に出て、種まき、施肥、消毒、水くれ…、この時期は休む暇はないね。暑くてくじけそうになることもあるけど、なんとか頑張ってるよ」と笑顔で語る竹内さん。 今年の夏は、全国各地で猛暑が伝えられています。竹内さんの圃場は中山間地に点在。町なかよりも標高が高く、朝晩は気温が下がりますが、日中の暑さは厳しいものです。 「トウモロコシは水が大事。今年は雨が少なくて苦労しているよ。だから水やりは欠かせないんだ」 厳しい気象条件の中でも、竹内さんが手間を惜しまず育てたトウモロコシ。今年も無事に収穫を迎えています。
中山間地にある圃場では、タヌキなどの野生動物による被害も深刻です。そのため、畑の周囲には電気柵を張って対応しています。 「農業は人が生きていく上で欠かせない仕事。大変でも食料をつくる大事な役割だと思ってやってるよ」と竹内さん。 地域の高齢化が進み、耕作放棄地が増える中、竹内さんはそうした畑を引き受けてトウモロコシの栽培面積を拡大しています。地域の農地を守り、次世代へとつなぐ姿勢に、農業への強い使命感がにじみ出ています。
竹内農園と飯山中央市場との付き合いは20年以上に及びます。 「中央市場さんに出荷するのは、『人』がいいから。こちらは作るのに精一杯で、販売までは手が回らない。地域密着の中央市場さんなら安心して任せられるよ」と竹内さん。 収穫されたトウモロコシは、主に関東の仲卸業者を通じて飲食店へと届けられ、料理を彩っています。 飯山中央市場では、農家さんとの日頃のコミュニケーションを大切にし、相場や他の産地の情報などを共有しています。生産者と販売先の双方に喜ばれるよう、これからも“つなぐ存在”として地域の農業を支えていきます。